はじめに
私は元々ロサンゼルスに住んでいて、トラッセルズやハンティントンビーチ等のメジャーなポイントはもちろん、サーフアプリには載っていないが特定の条件で反応するような素晴らしいポイントに沢山いってきた。
そんなサーファーとしては多くの人が羨むような場所に、数年間のみとはいえ住むことが出来たのだが、この度仕事の関係でシアトルに引っ越した。シアトルは多くの日本人にとって馴染みのある場所かわからないが、スターバックスが創業した土地として、また、イチローが活躍していた場所として有名である。
地理的にはカナダのバンクーバーまでドライブで2-3時間程度で行けるくらいの場所で、アメリカの最北西部に位置する。サーモン釣りや潮干狩り等の海遊びに加え、スノーボード等のウィンタースポーツが楽しめる自然豊かな土地である。
多くのテック企業が集まっていることから世界中のエンジニアが集まる場所であり、街の発展具合に比べてやたらと物価が高い一面も持っているように感じる。
そんなシアトルに越してきてから数ヶ月ではあるものの、いくつかサーフポイントに行ってきたので、日本語はもちろん英語での情報も少ない中、生のサーフィン情報を残すべく、この記事を書いておく。まだそれぞれの場所に数回しかいったことがないのであくまで第一印象レベルだが、通い詰めて感想が変わってきたら再度同じトピックについての記事を書く。
シアトルのサーフィンスポット
厳密にはシアトルにサーフスポットは無いが、シアトルを抜けて太平洋側に行ったり、大きな河口内にポイントが散在する。以下にそれぞれについて書いていく。
ウェストポート – Westport
ウェストポートはシアトルのダウンタウンから車で2時間 – 2時間半程度の場所にある、シアトルサーファーにとってのメッカのような場所だ。南北にも違うサーフポイントはあるし、Puget Sound湾につながる河口沿いにもあるのだが、波の立ちやすさ、アクセスのしやすさ、コミュニティの豊富さ等の点で、シアトルでサーフィンといえば?という問いに対して間違いなく第一に挙げられるポイントだろう。
ウェストポートでのブレイクは以下のように主に3種類ある
ウェストポートジェッティー – Westport Jetty
ウェストポートにおけるメインブレイク。上記のGoogle Map上では、ウェストポートライト州立公園の外洋に伸びている突堤脇のポイントになる。マップの通り太平洋にダイレクトに面しており、冬場ではコンスタントに10ft前後(!)の波がたっている。ビッグウェーブポイントとして知られるカリフォルニアのマーベリックを知っている人は多いかもしれないが、マーベリック含むノースカリフォルニア – オレゴン – ワシントン州(*ウェストポートはワシントン州に属する)のエリアは、冬場にハワイのノースショアに大波が来るのと同様に、巨大な西ウネリがヒットする場所である。
とはいえ石の突堤を備えたビーチブレイクであり、10ft前後の巨大な波だと形が悪くほぼジャンクになるため、3-5ft程度のこのエリアにしては波が小ぶりの日に楽しめるポイントになるだろう。
夏場の西ウネリが小さくなった季節は、初心者含めもっと多くのレベルのサーファーに優しい波がたつらしい。なおライブカメラが近くのホテルの微妙なカメラしか無く、Surfline等の波情報サイトを目掛けていっても当たり外れが大きい。
なお、駐車場は州立公園の大きな駐車場が利用できて、トイレやシャワーもついている。ワシントン州の州立公園で必要なDiscover Passというのが必要になるが、年額で35ドル程度と安い。また、その場で買うこともできる。
河口脇ポイント – Westport Groins (5 Finger Jetties)
こちらはメインブレイクであるWestport Jettyの河口内にあるポイントで、別名 5 Finger Jetties (5本指の突堤)と言われているだけあって、河口内になる5連続の突堤内部にあるポイントである。上記のGoogle Map上では、Westport Marina Cottages Motelと書かれた場所の目の前にある。
河口内部でサーフィンなど通常のポイントではあまり考えられないかもしれないが、外洋で10ft程度の西ウネリがあると、河口内部にも十分大きなウネリをもたらすため、サーフィン可能となる。基本的にはレフトのマシーンウェーブで、タイミング次第では人も少なくクオリティの良い波をひたすら乗ることができる。
目安としては、ウェストポートで西ウネリが10ft程度の大きさがあり、南風のときの行くと良い思いができるだろう。
もしこのポイントに実際に行く人がいたら絶対に注意してほしい点がある – カレントと潮位に最大限の注意を払うことだ。
河口内のポイントというだけあって、基本的にこのポイントは川である。流れが緩いときもあるが、特に大潮前後の時だと見た目は落ち着いていても異様な速さの流れが出来ているときがある。見た目が良くても誰も入っていないときがあり、私は誰もいなくてラッキーだなと思って意気揚々として入ったら、沖合に向かう流れの強さに一瞬で恐れ慄き、3分でサーフィンを中止した思い出がある。
また、慣れていない限りは干潮時にサーフィンを終了できるようにスケジュールしておくことだ。潮が低いときは岩場まで海水が届いていないので砂地から上がれるが、潮が上がると岩場から上がらざるを得なくなる・・・余程慣れていない限りはサーフボードも体もずたぼろになるだろう。最悪本当に死ぬポイントなのでご注意を。
駐車場はタダで豊富にある。
ハーフムーンベイ – Half Moon Bay
こちらもメインブレイクのWesport Jettyの河口内にあるポイントだが、その名の通り半月状の入江になっているポイントだ。大昔は良いポイントだったらしいが、現在は波があっても危険なショアブレイク中心で、入る人はあまりいない。私が2回いったときも、うねり自体はあったが超ショアブレイクで、誰も入っていなかった。ただ年に数回は炸裂するらしく、エキスパート中心に盛り上がる場所とのこと。
クレセントビーチ – Crescent Beach
こちらはシアトルダウンタウンから2.5時間 – 3.5時間ほどのドライブでいける場所で、太平洋からPuget Sound湾への途中にあるポイントである。このポイントの特徴は外洋でも内湾にあるわけでもなく、単に思いっきり川の中にあるということだ。ただ川といっても横幅が非常に大きく、いい感じに窪んだエリアなので流れはほとんどなく、初心者にとっても安心できるポイントだ。
ただしこのポイントは波を当てるのが非常に難しい。例えばSurfline等の波情報サイトで西ウネリ・3-4ft・オフショアと非常に良さそうなコンディションに見えても、実際行くとフラットだったりする。
それはおそらくウネリの大きさはあくまで外洋のブイをもとに予測しているからであって、川の中腹あたりでのウネリの大きさなんかまったく考慮していないからだろう。したがって、本ポイントに行く際はそのあたりに住んでいるローカルに直接コンディションを聞くか、ウェストポート辺りで10ft超・西ウネリのコンディションの時に期待をこめて行くかという感じだろう。
シアトルからの行き方は主に2種類あって、ダウンタウンから数十分北上してカーフェリーで行く方法と、タコマあたりまで大回りしていく方法だ。合計の所要時間は殆どかわらないが、カーフェリーで行く方が断然体力的に簡単である。
ウェットスーツ
シアトルの緯度は南樺太とほぼ同じで、北海道等の寒い場所で釣れることでお馴染みのサーモンが遡上してくるような場所でもあることから、特に冬のサーフィンは過酷な状況になると思われがちだろう。しかし実は全然そんなことは無いというのが私の2024年1-3月までサーフィンした感想だ。
北海道やNYの冬のサーフィンのような過酷な環境下でのサーフィンとなるイメージを当初持っていたのでメローウェットスーツ製の5ミリのカスタムオーダー・セミドライを持っていったのだが、ワシントン州の太平洋側にくる海流は暖流のため、2-3月の一番水温の下がる時期であっても3ミリセミドライ + 2ミリグローブ + 5ミリブーツ + 首元の空いたヘッドキャップで余裕だった。
比較のため同じ日に、5ミリセミドライと3ミリグローブも試したら快適にサーフィンできたが、暑くて途中で水をウェット内に入れて丁度良い程度だった。
* ブーツとグローブはともにサーフ8の製品。ヘッドキャップはアマゾンで格安で買ったノーブランド品。
なお、2024年の厳冬期が3ミリセミドライで余裕だったからといって、例年そうなるとは限らないのは言うまでもないだろう。たとえば2021-2022年の南カリフォルニアの冬は素手・素足だと寒すぎたが、2023年においてはグローブ・ブーツ無しで余裕なくらい水温が暖かかった。
ちなみに、冬場でも水温が下がりすぎることはないのは良いのだが、夏場でも水温が対して上がることは無いようで、通年なんらかのグローブやブーツは必要とローカルサーファー達はいっていた。
最後に
シアトルはビッグテックの集まる世界有数の場所であるが、自然豊かで2-3時間ドライブすれば複数のサーフポイントにいける。冬場はハワイのノースショアと同種のウネリが届くことから、コンディションはハードで初心者が気軽に近づけるような場所ではない。まだ私自身が探検中であるものの、ポテンシャルはある程度感じたので引き続き開拓していく。
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